以前、IDEÉにて発表会をご紹介したパリ郊外の小さな町ソーのクロスステッチクラブ。今回はひとりの女性がその人生のなかで、どんな風に手芸と関わり、刺繍を楽しんでいるかをクラブのリーダー、アニーを通してご紹介しましょう。
アニーが最初に針と糸を手にしたのは約50年以上も前、7歳のときのことでした。女学校の教師をしていた祖母からの手ほどきをうけたのが最初です。当時の学校ではまだ子供達が、お裁縫の基礎としての様々なステッチを学んでいました。最近、コレクターの間で人気のあるアンティークサンプラーと呼ばれるものも、そのもっと昔、子供達がお裁縫のお稽古として作っていたものなのです。
それ以来 休むことなく刺繍だけでなく、編物や、洋裁などあらゆる針と糸に関わることを楽しんできたアニーには、自分だけでなく多くの人と手芸の楽しみをわかちあいたいという望みがいつもありました。その夢が実現したのは約10年前、フランスで、クロスステッチが流行しはじめたころです。
”だれもが楽しむことの出来るクロスステッチ”、によってアニーは地元のクロスステッチクラブを作ることを思いついたのです。そして当初は5人だったメンバーは、現在約70人を超えるまでになりました。
アニーと彼女を支えるクラブのスタッフたちは、余暇のほとんどをこのクラブでの活動のために費やしています。週2回のクラブの準備、他の地域のクラブとの交流会や、プロの作家を招いての特別講座、発表会の企画・準備、毎月発行されるクラブ通信などなど。この小さな読み物には、パリを中心としたイル・ド・フランス地域の手芸に関する様々な情報でぎっしりです。
想像しただけでも体がいくつあっても足りなさそうですが、アニーの活動はそれだけではありません。昨年、彼女は別荘があるブルターニュでもクラブを作り、今は月に一度現地を訪れて活動をしています。
また彼女は小さなお店のオーナーでもあり、以前は作った作品をおいていただけだったのですが、最近は自分でも作ってみたいという人が増えてきたので、と、オリジナルのキットもお店におくようになりました。彼女が長年かかってコレクションしてきたアンティークファブリックやテープ、リボンを使ったキットは地元で密かな人気です。
いったいどれだけの情熱が彼女のなかにあるのでしょう。彼女曰く、「いつも頭のなかはしたいことでいっぱいなの。針を持っている間もよ。いいえ、針を持つと、新しいアイデアが頭にうかんでくるのよ。」
彼女からの日本の手芸愛好家へのメッセージは...
「いつまでも手作りを大事にしましょう。機械では絶対にできないこと、感じられないことが手作りのものにはあるんですもの。On
va travailler! さあ、はじめましょう! 」
(Aki
in Paris / 2004年7月)
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