フランスでのさまざまな手仕事を紹介していくIDEÉ のページ
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今回は私の大好きな、フランスはアルザス地方の街ストラスブールにある刺繍のお店
<Fils du Temps>をご紹介します。 刺繍を愛するマダムがその情熱で集めた膨大な商品量には訪れる度に圧倒されます。隅から隅まできっちりチェックしてお気に入りを見つけるその楽しさといったら!訪れたら決して手ぶらでは出て来られない魅惑のお店なんですよ。
さあ、まずは街の中心 大聖堂の前から出発しましょう。
(*1)
大聖堂前の大通りrue
du Vieux-Marché Aux-Poissonsを南下しそのまま橋を渡る。小さな広場place
du Corbeauを通り過ぎ、更にそのまま商店街 rue du Austerlitzを南下。広場兼バスターミナル(place
D'Austerlitz) を突っ切ると、そこにお目当ての<Fils du Temps>があります。(*2)
店に入ると、おびただしい数の商品が目に飛び込んできます。壁という壁、スペースというスペースにぎっしり並んだキット、チャート、本、ビーズにチャーム、刺繍糸に、いきなり興奮状態。(*3)
注>Rouge du Rhinは扱っていません。(Rouge du
Rhinはプチ フランス界隈の Mercerie Du Bain Aux Plantes に相当の品揃えがあるので、そちらにお任せなの)
そしてこのお店のマダム、ベアトリーチェ・オリエレさんの優しい笑顔がお出迎え
(*4)
店内 (*3)
店内 (*3)
店内 (*3)
ベアトリーチェ・オリエレさんから、日本の刺繍を愛する皆さんへのメッセージ
<私が今一番気になるのはハートのモチーフなのよ>
「ハート」って日本語だと、どう訳すのかしら?
愛という意味の他にもいろいろな訳語があると思うけれど、私が今、気になっているのは「誰かを思いやる心」と意味でのハート。
刺繍の図案の中でも、誰かのことを想って一針一針刺すものは特別ね。この地方で昔行われていた風習で、子供が生まれるとその子の健やかな成長を願って名付け親が「Gottelbrief(神様への手紙)」
(*5) と呼ばれる「祈願札(注・日本の絵馬のようなもの)」を用意するのよ。手作りの拙い紙細工だけれど、私はその思いのこもった細工に特別の美しさを感じるわ。今はもう行われなくなってしまったこの風習が残念だから、アルザス博物館にあるオリジナルを元にして刺繍の図案(*6) をおこしてみたのよ、素敵でしょう?
現代はとてもハードな世の中ね。新聞を開けば気が重くなるようなニュースばかり目に付くわ。だからこそ、私たちひとりひとりにできる小さな「思いやり」から始めたいわ。自分の恋人や家族、自国にだけ「ハート(愛、思いやる気持ち)」を向けるのではなく、もっと広く隣人へ、世界全体へ向けて「ハート」を持ちたい。私たち刺繍愛好者なら例えば、刺繍デザイナーの権利を尊重することもそのひとつよね。具体的に言うと、図案をコピーしてお友達に分けてあげるのはよしましょう。刺繍デザイナーや手芸店の収入を減らすことになり、あなたのお気に入りのお店やメーカーがそのせいで存続が難しくなることも有り得るわよね。もしそうなったらとっても残念じゃない?
(註>今回刺繍作品にUPの写真がないのは、マダムの特別な希望です。万一にも写真から図案がコピーされないように、とのデザイナーへの配慮です。)
大切な家族へや友人への「思いやりの気持ち」、そして疲れた自分自身への「思いやり」。そんな小さくて忘れがちな、でも一等大切なことを忘れないでいたい。そして、それをもう一歩広げることができれば、隣人愛そしてもっと広く愛を分け与えていけると思うの。だからかしら、私は気がつくとハートの図案に目が行くの。お店にもハートの図案がいっぱいでしょ?刺繍を愛し商いとする者のひとりとして、これからも「もっと思いやりの心を贈りあいましょう」のメッセージをハートの図案に託していきたいわ。
そんな思いをこめてお店オリジナルの「プチハート・シリーズ」も展開中(*7)
。可愛らしいでしょう?このシリーズは毎月新しい図案が出るの。その時々の限定数量エディションもあるのよ。日本の皆さんにも今回、Jeu
du Filsさんとの共同企画で「日本限定版のプチ・ハート」をご紹介することになり、はりきっています。どうぞ楽しみにしていてね。
<インタビュー後記>
このお店はストラスブールに来たら必ず寄ってチェックしないではいられない、私の大好きなお店です。驚くほどの店頭在庫量なのに、「こういうのを探しているんだけれど」と言うなり「あ、それはね、ここにあるのよ」と山の下からさっと取り出すマダムの魔法にいつも目をぱちくり。私がお店にいる間にも、ふたり連れの若い女性が「いっぱいありすぎて決められない!」と嬉しい悲鳴を上げていました。(一旦退散しカフェで一服してからまた来て、迷っていた両方ともをお買い上げに)
今回の訪問では、丁度バカンスシーズンでお店の客足が途絶えがちだったこともあり、マダムにはゆっくりお話をうかがうことができました。刺繍や伝統手工芸の話になると、止まらなくなってしまうマダム。お話をうかがっている間にも、「こんなの知ってる?」と奥から本やら見本やら取出してくださったり、新しいアイデア(ハート形のなにかを身につけてメッセージにするのもいいわよね。刺繍をあしらった小さなオリジナルアクセサリーを作ったらどうかしら?)が沸いて出たり、日本の着物について興味津々の質問が出たり、その熱心さがとてもチャーミングでした。
(reported by Yuko in Stuttgart / 2004年8月)
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大聖堂の門 (*1)
FILS DU TEMPS (*2)
7, place dォAusterlitz,
67000 Strasbourg
マダム ベアトリーチェ・オリエレ (*4)
Gotterbriefの本
(*5)
Gotterbriefをもとにして作られた刺繍
(*6)
「プチハート・シリーズ」 (*7)
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まめ知識 ::
ストラスブールを含むアルザス・ロレーヌ地方は、ドイツとの国境近くライン河畔の肥沃な土地に位置し、その豊かさの為に過去数百年の間に何度もドイツ−フランス間の国境争いに蹂躙されてきました。日本でも有名な「最後の授業」はこの地方が舞台です。今でも土地の人々はフランス語とドイツ語の両方を話しますし、文化や生活習慣も両国をミックスした独特の雰囲気があり、多くの近隣諸国の人々を惹きつけています。本国フランスの中でも「自国なのに異国情緒のある地方」として人気があるようです。皆さんも機会があれば是非ストラスブールを訪れてみてくださいね。