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フランスでのさまざまな手仕事を紹介していくIDEÉのページ


 

:: フランスの古い箱、モシュリンヌ ::


フランスを旅立つ友人が、ツバメとすみれが蓋に描かれた綺麗な箱を贈ってくれました。
カルトナージュはもちろんのこと、いわゆる「ハコモノ」が大好きで、作ったり、見つけてきた箱にちまちまと作品を詰め込んでみたり、内側に布をはって仕切りを作ってみたりするのはなによりの楽しみです。

これは以前、雑誌ステッチbookに掲載していただいた、すみれをテーマにしたお裁縫セットです。クロスステッチ、フランス刺繍、リボン刺繍といろいろな技法ですみれを刺してみました。箱は 蚤の市でみつけた”勲章”がはいっていたと思われる小箱です。

今回いただいたこの箱も、やっぱりお裁縫箱なりそうです。
蓋に描かれているすみれの色をベースに、ツバメの刺繍をしようかしら?中にしまうはさみは、紫と相性のよいベッコウのイメージのエカイユを、とイメージは膨らみます。いろいろな箱を集めたり、綺麗なお菓子の箱があればとっておいたりしているのですが、実はこの手の箱は持っていませんでした。友人のコレクションがあまりにも素晴らしすぎて、なんとなく見せてもらって満足していた、というところなのです。

これらは その友人コレクター、クロスステッチ作家でもあるソフィーのコレクションのほんの一部です。

コレクションを見せて欲しいをお願いしたところ、ビールケースのようなコンテナに入れられて登場してきた箱たちにはほんとうに圧倒されました。

さてこのかわいらしい箱たち、蚤の市などでも人気でヨーロッパにコレクターの多い箱です。
フランスでは その生産地名をとって「モシュリンヌ= Mauchline」、もしくは材質から『ボワット ドリビエ=boite d'olivier(オリーブの箱)』と呼ばれています。雑誌「コットンフレンド 秋号」のパリ特集でも 少しご紹介したこの箱について少しお話してみましょう。

18世紀後半、スコットランド南西部には Mauchlineという町を中心に 木工工芸品で栄えている一帯がありました。その地域で生産される光沢のある仕上げが人気の木工品は、19世紀にはいっての”観光ブーム”とともに、土産物として有名になり、ヨーロッパ各地に一気にひろまりました。シンプルな小箱だけでなく、携帯用裁縫ケース、切手ケース、カギタバコ入れ、手袋用の箱、写真立てにペーパーナイフなどなど、数多くの身の廻りのものが旅行を記念するお土産用にと各地の地名を入れて作られ、さまざまな国へ輸出されていました。

もともとこれらの箱は、プラタナスの木で作られていたようですが、あまりの人気に材料が不足して遂にはオリーブの木を輸入して箱をつくっていたと言われています。きっとフランスでオリーブの箱、と呼ばれているのもそのことに由来するのでしょう。

それほどまでに栄えた産業だったのですが、なぜか1930年代にはばったりと生産が終了しました。そのことがより、人びとの興味を集めているのかもしれません。




小箱としてよく見かけるものは、主に3種類のタイプがあります。
ひとつは スコットランドの象徴であるタータンチェックを使ったもの。

もうひとつは地名とともに、各地の教会や名所が黒い線画で描かれたもの。

そして最後は、今回私が贈られた燕とすみれの箱にみられるように、幸せをもたらすとされるさまざまな19世紀らしいロマンチックなイメージとともに、観光地の地名がはいったものです。特に多いのは、その時代のポストカードと同じく、 ミモザや、すみれ 次いでそして燕や、リラ、すずらん、矢車草。四葉のクローバーも稀にはみかけます。

書かれている地名はさまざまで、ニースやカンヌといった有名なバカンス地とともに、スイスや、ドイツ、イタリア各地の町の名も見かけます。それらを観るたびに鉄道が開通して人びとが旅を楽しむようになり、旅先で家族や友人への土産物を選ぶ様が思い浮かぶのでした。

昔々の旅の思い出の小箱が、私にとっては友人とのパリの思い出の箱となり、これからは 針仕事の傍らで裁縫箱として活躍してくれることでしょう。

(reported by AKI in Paris / 2007年11月)

 







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