Jeu de Fils (ジュ・ド・フィル)は、いつまでも変わらぬ美しさ、愛らしさをもつ刺繍や手芸材料  
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刺しゅうとカルトナージュ
ー 製作ノート その1 <刺しゅう編> ー


アトリエ Jeu de Filsに猫の手が増え、久方ぶりに、知人への贈り物を作る時間ができました。
花好きの彼女に、リラの花をステッチして小さな小箱 (JDF-CR03 プティット・ボワット) をつくることにしました。

モチーフが決まっているので、次は刺しゅうする布と糸の色を選びます。

布は、細かいリラの花びらをしっかりと刺したくて、その薄さと布目の細かさにもかかわらず、安定感のある丈夫な生地、ベルギーLibeco社のbasics eco dark (JDF-TSL01)を。さて次は糸です。

贈る人の好みを考えて色を選ぶと、自分では常日頃使わないような色が思い浮かびます。できるだけ華やかな色とを考えてまず決めたのがDMC3607。少し派手すぎるかなと考え、リラの花そのものという554を選びました。葉の色は、少し肉厚のリラの葉を思い出し、深みのある3362。そしてまだ堅いつぼみや、葉先を彩る若々しい新芽をイメージした733。

花が花の色になる前の堅いつぼみ、茎や萼からつらなるところにふとあらわれるみずみずしい黄緑は、植物の生きる力を表すような気がします。見たままを再現しようとすると刺しゅうの良さが生きないので、そのままを写し取ることはしません。どこかにこの黄緑を入れたい、という気持ちを優先させます。

最後に、まだ冷たい空気が残るリラの花咲く森を思い浮かべると、スモーキーな茶色の3781番に手が伸びました。

糸の色が決まれば、次に箱となる布を選びます。
といってもリラを刺しゅうしようと思った瞬間、既にこのアンティークの布は頭にありました。
この布と、刺しゅうのリラの花をつなぐ布探しです。
さまざまなニュアンスの紫の布からふたつの無地をとりあえず選び、あとは刺しゅうが仕上がってから考える事にします。

さて刺しゅう。

まずは図案をトレーシングペーパー(JDF-MT01)に転写します。
『こどもの景色』より リラの花 [planche 16]
無精な私は、花びらの部分はペーパーに描かず、十字を書いてすませます。それから布の上にペーパーをのせ、カーボン(JDF-MT01)をはさみ、ボールペンでなぞっていきます。このときに十字を基準に花びらを描いていきます。手抜きに見えるこの書き方、花びらの中心がちゃんと一点に集まる、という利点もあるのです。

そのあとは無精をひっこめ、ひと針ひと針丁寧に刺しゅうしていきます。クロバー製の先の細いしなやかな針、 NO8(JDF-MT06)を使いました。まずは茶色の枝、細い枝は濃い緑を使ってサテンステッチからアウトラインステッチへ流れるように刺しゅうします。次は、葉脈をアウトラインステッチで刺し、葉をロングアンドショート・ステッチで埋めていきます。埋めていく と書きましたが、実際のところは、糸をきれいに並べて置くように、詰め過ぎに気をつけて刺します。

花びらのひとつひとつをサテンステッチで埋めていきます。
リラの花のきゅっと集まった様子を表現するために、ひとつひとつを少し肉厚に、図案より少し大きめに、と意識して。先ほどの葉とは反対に、糸と糸が押し合うくらいのきゅっとつまった間隔で、ふっくらとした花びらになっていきます。最後に黄緑のフレンチノットで花芯を入れたり、枝先のつぼみや、萼に黄緑を散らしていきます。すべてを1本取りで刺しました。

さあ完成、と思ったのですが、何だか余白が大きいような気がしてならず、イニシアルを加えることにしました。 麻布をナチュラルにしたせいか思ったほどの明るさが出ていないとも思い、白いアルファベットを。真っ白とクリームの間の色、3865番を選び、2本取りのアウトラインステッチで芯を作ったあと、そのアウトラインの上をサテンステッチしました。簡単な芯入りのサテンステッチです。丸の部分は濃い緑に変えてアクセントに。浮き立つ白をもう少し花に寄り添うようにしたかったので、今度は枝の茶色を少し加えることに。

仕上がったアルファベットの陰になるような位置に茶の一本取りでバックステッチしてラインを足します。そのバックステッチの針目をさらに白の1本取りで掬って(針を先の丸い細めのクロスステッチ針にかえると掬いやすくなります)、縄目模様にしました。
満足のゆく色合いになりました。


つづく

(高橋亜紀 / 2012年10月)






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